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ビジネススクール:ビジネスプラン中間発表会を開催しました。

2012/11/19

11月7日(水)・14日(水)、ビジネスプランの中間発表会が開催され、あわせて18名の受講生が参加しました。発表者には1人あたり最大7分の持ち時間が与えられ、現段階でのビジネスプランについて、事前に用意された以下のようなフォーマットに基づいて発表してもらいました。
(1)6次ビジネスの名称、
(2)6次ビジネスの経営理念と経営目標、
(3)6次ビジネスの経営戦略と長期的方針、
(4)6次ビジネスのマーケティング戦略、
(5)主要事業のビジネス計画(①原材料・生産計画、②加工・製造計画、③販売・サービス計画)

ビジネスプランの作成作業は、8月上旬の宿泊研修で行われたワークショップを皮切りに開始され、この時点で約3ヵ月が経過しています。開始当初は、まだ受講生の多くが具体的なビジネスのかたちまでは描ききれておらず、熱意だけが先行している印象でした。しかし、今回の中間発表会ではこれらの課題が克服され、自らが展開したい6次ビジネスの理念や目標の明確なプランが目立ちました。なかには、もう一歩踏み込んで、マーケティング戦略までしっかりと練り上げられた、骨太なプランを発表した受講生もいました。
多くの受講生が、自らのビジネスプランのブラッシュアップをはかるべく、これまでの講義や研修活動に目的意識を持って臨んできました。今回の中間発表会では、その成果がよく現れていたと思います。

▲受講生によるプラン発表の様子


▲商品を持ち込んでプラン発表をする受講生

今回の中間発表会には、今年度のビジネスプラン作成のメイン講師をお願いしているDABアグリ研究所の木村伸男先生、カリキュラム開発リーダーを務めていただいている山形大学農学部の小沢亙先生、そして同じく山形大学の野田博行先生、角田毅先生、藤科智海先生にもご出席いただき、発表を行った受講生ひとりひとりのプランに対する講評やアドバイスをしていただきました。

講師陣からは、「抽象的で一般的な表現が散りばめられているだけ」「やりたいことが絞り切れていないのではないか」、「どういう商品か具体的にイメージできない」「自社製品の他とは違うウリは何なのか」、「その商品に対する消費者のニーズはあるのか」「年間売り上げ目標が1経営体当たり1,000万円では少ない。1人当たり1,000万円ぐらいを目標にしなければ事業を行っても仕方がない」等々、さまざまな批判的レビューがなされ、いつもとは違った緊張感のもと、ビジネス・スクールの発表会にふさわしいものとなりました。
また、完成度の高いビジネスプランであればあるほど、講師の先生方によるツッコミも鋭くなっていくように感じられ、それを持ち前のユーモアで返す受講生の方などを見ていると大いに勇気づけられ、来年2月のビジネスプラン完成と、その先のプラン実現に向けての期待が大いに高まりました。

▲木村伸男氏(DABアグリ研究所) ▲小沢亙氏(山形大学農学部)

▲野田博行氏(山形大学大学院理工学研究科) ▲角田毅氏(山形大学農学部)※右から2人目
▲藤科智海氏(山形大学農学部) ▲発表会場の様子

11月14日(水)には、農林水産省の担当者に‘やまがた6次産業ビジネス・スクール’を視察していただきました。当日の発表会を最初から最後まで熱心に聞いていただいた結果、受講生をはじめ、講師陣や私たち事務局一同の取り組みの様子について、好意的な評価をいただくことができました。

▲農林水産省の担当者による挨拶

今後は、11月28日(水)に木村伸男先生による「資金計画」の講義が行われ、ビジネスプランの実現に欠かせない財務会計の知識を学びます。あとは残すところ約3ヵ月、最終的なビジネスプランの完成に向け、いよいよ本腰を入れて取り組んでいくことになります。

「第3回 農業・食料・環境を考える山形県民シンポジウム」が開催されました。

2012/11/13

11月13日(火曜)午後1時より、山形市の「文翔館」議場ホールを会場に、『農業・食料・環境を考えるシンポジウム』が開催されました。主催は、山形大学農学部、山形県立農業大学校、それに県内の6つの農業高校です。
まずは、農業高校、農業大学校、山形大学の学生・生徒による「意見発表とプロジェクト発表」、それに引き続いて、パネラーとして高校生、農大生、ここに農業実践者が加わったパネルディスカッションが行われました。

▲会場となった「文翔館」議場ホール

農業大学校2年、齋藤葵(さいとうあおい)さんにより行われたプロジェクト発表、『伝統野菜「畑なす」の栽培技術確立』では、地元の野菜である「畑なす」の栽培技術を確立するための取組み実験の結果、収量の大幅な増加につながった事実が、実証データとともに示されました。
この報告の素晴らしいところは、更に一歩踏み込んで、「栽培方法の改善→収量の増加→10aあたりの経営収支の改善→商業的にペイできる農業経営」までを、実証実験と綿密な分析に基づいて組み立ている点です。地に足の付いた、農大生らしい素晴らしい研究成果報告でした。

担当者によれば、農業大学校のミッションは「地域の担い手育成」、これに尽きるそうです。そのために、学校としても地域との交流に力を入れ、今回の「畑なす」に代表されるように、栽培技術や検証結果を地域の農業者の方々にも還元して、地域貢献を行っているそうです。今回発表された齋藤さんも、自分たちの取り組みが地元農家の方々にとても感謝され、そのことが大いに励みになったと話していました。

続いて行われたパネルディスカッションは、農業高校の生徒、農業大学校の学生、農業実践者、という立場やスキルの異なる参加者間で行われたところが特徴的でした。
参加者がそれぞれの立場で農業をどう捉えているのか、農業のどんなところに最も魅力を感じているのかについて意見が交わされ、大変興味深いものでした。

大学卒業後にサラリーマン(サービス業)を経験したのちに新規就農を果たした“農業実践者”の大山哲哉(おおやまてつや)さんからは、まず社会人になって身を置いた異業種から実家で営む農業を見たときに感じた違和感や不全感があったこと、それと同時に農業にビジネスチャンスを見出せたことなど、就農した動機についてお話しがありました。
一方で、実際に就農してみると、農業がそんなに甘いものではないことを痛感したとのこと。農作業の大半を占める栽培管理の仕事は肉体的にきついもので、就農前の自分が見ていたのは、収穫作業などきれいなところだけだったと気づかされたのだそうです。
現在は他の農業者との積極的な交流や、スイカの収穫体験や商品の販売など、6次産業化にも取り組んでいるそうです。

今回のシンポジウムには、農業高校の生徒が多く参加していました。県内の一つの会場にこれだけ多くの「若手農業者の卵」が一堂に会して活動報告や情報交換を行い、各教育機関で連携を図ろうという動きがあるのはとても素晴らしいことです。

農業高校、農業大学校、大学、大学院という、役割がそれぞれ異なる機関による一気通貫の効果的な人材育成を図られれば、県内各地域に若い農業者や担い手が生まれる好循環を生み出し、将来の山形県の農業が発展する契機となるでしょう。これからも関心を持って行きたいと思います。

▲文翔館の前庭では各校で栽培・加工された農産物、農産加工品の販売が行われていました。 ▲農業高校のブースで販売されていた有機ELパネルを活用して水耕栽培したミニトマト

ビジネススクール:視察・宿泊研修を行いました。

2012/11/09

10月24日(水)、25日(木)の二日間、ビジネス・スクールの視察・宿泊研修が行われました。実施日程が農繁期と重なったため参加人数がやや少なめでしたが、参加した受講生の評判は上々で、大変意義深い視察研修になったようです。

視察先は以下の4件、いずれも6次産業化の優良事例です。
〔視察1〕有限会社 伊豆沼農産(宮城県登米市)
〔視察2〕デリシャスファーム株式会社(同大崎市)
〔視察3〕有限会社 イーストファームみやぎ(同遠田郡美里町)
〔視察4〕NPO法人 鳴子の米プロジェクト(同大崎市鳴子温泉)

【視察1. 伊豆沼農産(宮城県登米市)】

山形市内を出発して車で1時間半程度、宮城県栗原市の伊豆沼農産を訪問しました。
周辺の「伊豆沼」は、栗原市と登米市にまたがる日本最大級の渡り鳥の越冬地として知られており、国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」にも登録されています。

こうした恵まれた自然環境のもと、伊豆沼農産では「農業を食業に変える」を基本コンセプトに、ハム・ソーセージの加工、それらを提供するレストラン事業、農家直売所を運営して、地域に根ざした農商工の一貫体制を構築した6次産業化を実践しています。

▲レストラン「地域料理の店 くんぺる」 ▲「くんぺる」で提供される料理

併設されたレストランで昼食を取った後、伊藤秀雄代表取締役による講義が行われました。伊藤社長からは、これまでの取り組みの経緯についてお話しいただきました。具体的には、地域住民を巻き込んだ「あるもの探しの会」の話、地域資源の組み合わせ方や見る角度を変えることで、他の地域とはひと味違う‘オンリーワン産業’に結びつけていくことが可能となること、「農業の産業化」ではなく「農村の産業化」こそ目指すべき方向性であること等々、熱のこもったお話しをしていただきました。

◇「伊豆沼農産」のウェブサイト http://www.izunuma.co.jp/(外部リンク)

▲農家直売所 ▲伊藤秀雄 代表取締役による講義の様子

【視察2.デリシャスファーム(宮城県大崎市)】

次の視察先は宮城県大崎市鹿島台にあるデリシャスファームです。
糖度の高い‘デリシャストマト’を使った新商品の製造販売、フードメニューを提供するカフェを開設しています。
到着後、まずはトマトを栽培しているパイプハウスを今野社長が自ら案内して下さり、その後は併設するカフェに場所を移し、講義をしていただきました。
講義ではトマトをより糖度の高いものに仕上げるための苦労話や、多くのトマト農家にとって安定供給がネックとなっていること、そんななかで、企画外品の有効利用を模索するうちに加工に取り組むに至ったこと、現在では直売にシフトし、仙台商圏を中心に個人客をつかむことに成功した経緯など、丁寧にお話ししていただきました。

◇「デリシャスファーム」のウェブサイト http://www.delicious-farm.com/index.php (外部リンク)

▲トマト栽培を行っているパイプハウスの内部 ▲現地案内をする今野文隆代表取締役
▲トマトジュース‘デリシャストマト丸絞り’ ▲トマトを使ったさまざまな商品

〔2日目〕

松島湾の海岸沿いに宿泊しました。昨年3月の東日本大震災で、太平洋岸の多くの港が甚大な津波被害を受けましたが、この周辺だけは、至る所に小島が点在するリアス海岸特有の複雑な地形ゆえに、津波被害を免れたそうです。
視察2日目は、津波により農地が海水を被るという深刻な被害を受けた地域で取り組まれているプロジェクトを視察に行きました。

▲松島の港 ▲松島湾

【視察3.イーストファームみやぎ(宮城県遠田郡美里町)】
二日目の最初の視察先は、‘イーストファームみやぎ’です。

米や大豆、小麦の生産販売、馬鈴薯や綿花の契約栽培といった農業生産活動に加えて、切り餅や赤飯、おこわなどの加工品の製造、そしてそれら生産物を販売する直売所の経営を同じ場所で手がけており、6次産業化を実践している農業者の団体です。
代表の赤坂芳則氏による講義では、30年ほど前に赤坂氏を含めた若い農業者で共同して始めた「小島(こしま)ユートピア計画」の話から、19年目にして3人でスタートした農業法人化の話、そして現在の米作りを中心にした取り組み、栄養週期栽培米(=栄週米)の生産販売から、餅の加工販売の開始に至るまでの試行錯誤の物語をお話しいただきました。
米については農協には一粒も出さず、価格は高めながら大半が固定客であること、関東圏の消費者を中心に、大手販売業者が出来ないような‘きめの細かい’販売方法で売り先を獲得したとのこと。周辺農家の多くが稲作に見切りをつけて、果樹や野菜の栽培に移行している中でも米作りに徹底的にこだわってきたそうです。実に堂々とした、ときにユーモアを交えた赤坂氏の話しぶりからは、軸がぶれない農業者が持つ強い信念が感じられました。

一方で、大手食品メーカーと契約栽培している馬鈴薯の生産については、農協や行政も引き入れてスタートし、メーカーの‘産地化志向’に応えています。

さらには、昨年の東日本大震災で津波による塩害を受けた農地で行われている「東北コットンプロジェクト」に関してもお話しいただきました。まずは被災地に隣接する地域の農業者として何かできることがないか、という強い使命感で取り組まれている様子が感じられました。綿花の国内生産は、商業的にはペイしないそうですが、取り組みそのものに価値があるといえます。赤坂氏は近く行われる綿花の収穫イベントをとても楽しみにしておられました。

◇「イーストファームみやぎ」のウェブサイト http://www.eastfarm.co.jp/index.html (外部リンク)

◇「東北コットンプロジェクト」のウェブサイト http://www.tohokucotton.com/ (外部リンク)

▲赤坂芳則代表 ▲‘栄週米’を紹介する赤坂代表
▲契約栽培している馬鈴薯が使われたポテトチップスを紹介する赤坂代表 ▲綿花畑。7月から9月にかけて黄色い花が咲きますが、このときは花の落ちた後。ふっくらとした実がついていました。
▲実が弾けて、中から白い綿が吹き出したところ

【視察4.NPO法人 鳴子の米プロジェクト(宮城県大崎市鳴子温泉)】

最後の視察先は、鳴子温泉とその周辺地域で行われている「鳴子の米プロジェクト」です。
全国有数の温泉地である鳴子温泉で行われている、農業やコメ本来の価値を見つめ直そうという試みです。米生産の現場において、集約化・効率化を優先し、農家の米作りの意欲を奪う農政への疑問から、地域限定のブランド米「ゆきむすび」を育て上げて、地域ぐるみで農家を応援する全国的にも珍しい取り組みです。

まずは、この地域限定のブランド米「ゆきむすび」を使ったおにぎりを提供するお店、「むすびや」で昼食におにぎりをいただきました。
低アミロースの米は冷めても硬くならず、おいしさが長持ちするそうです。さらにおいしさを引き立てる器には鳴子の漆器が使われ、箸も地元の間伐材が用いられているそうです。また、おにぎりを握るのは地元の女性たちです。職業の枠を超え、地元鳴子を盛り上げようというプロジェクトの趣旨が貫徹されていました。

場所を近くの集会所に移して行われたプロジェクト代表、上野健夫氏(ご自身が専業農家で、米農家です)による講義では、米の販売は事前予約制で1俵(60キロ)24,000円であること、農家には18,000円が支払われ、残り6,000円はプロジェクトの運営費や若者受入れの支援などに使われることなど、地元農家の作るコメを皆で買い支え、食べ支えているプロジェクトの仕組みについて説明していただきました。

話を聞いてみると、地域全体の農家数からすると参加農家は決して多いとはいえませんが、当プロジェクトがこれだけ全国的にも関心を集めている背景には、上野代表をはじめとする地域の米農家の結束力と情報発信力、そしてプロジェクトを支える職業を超えた地域の人々の熱意があるのでしょう。
決して資金力や特別な地域資源をもつわけでもない、大都市からも離れた地方の温泉街から、このような仕掛けが生まれていることに、多くの受講生が刺激を受けたようでした。

▲‘むすびや’の入り口 ▲店内にはお米の作り手と支え手をつなぐ情報が掲示されています
▲昼食にいただいた‘小昼らんち’。おにぎりと地元野菜をたっぷり使った具だくさんの汁物、煮物のセット ▲鳴子の米プロジェクトの代表、上野健夫氏による講義

今回の視察研修での訪問先それぞれに共通するものとして、確固とした理念にもとづいた入念な準備、そして他産業とうまく連携したり、消費者を味方につける‘仕掛け’のうまさが挙げられます。参加した受講生にとっては、日ごろの座学とは一味違う貴重な機会となりました。

ビジネススクール:仙台で販売実習を行いました。

2012/11/02

10月4日(木)、5日(金)の2日間、仙台市のクリスロード商店街で販売実習をおこないました。会場の「東北ろっけんパーク」は、東日本大震災からの復興を目指す東北を元気づけよう! をテーマに開催される復興物産市で、各回のテーマごとに出店者が入れ替わります。
今回は特別版として開催された「山形フェア(開催日:10月4日~7日)」の前半にやまがた6次産業ビジネス・スクールの受講生が出店しました。

「東北ろっけんパーク」のウェブサイトはこちら→ http://sendai-navic.com/ev/350


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自前の商品がある受講生にとっては、買い物客がひっきりなしに行き交う東北最大の繁華街で自分の商品をいかにしてPRするか、今後の課題を探る上でまたとない実践の場となりました。また、今回は講義の一つとして販売実習をおこなったので、自前の商品がない受講生も販売員として売り場に立ちました。


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いざ販売の現場に立ってみると、商品を買ってもらうまでには、まず商品に関心を持ってもらい手に取ってもらう、そして商品の調理の仕方や食べ方などをわかりやすく具体的に言葉で伝えるなど、実に多くのハードルがあることを改めて実感させられます。ごく当たり前のことですが、売り手と買い手という関係でじかにやり取りをすることで、消費者の身になって商品を提案することの大切さを感じ、受講生の皆さんは多くのヒントを得たはずです。


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